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ズームレンズが好きな理由

よくご結婚式の撮影現場でスチルや同業のビデオさんなどに聞かれることがあります。「単焦点は使わないんですか?」

「使いますよ。でもズームが好きなんです。」

ちょっとご説明すると、レンズには大きく2種類ありまして、一つは「単焦点レンズ」:焦点を結ぶ距離が決まっているレンズと、「ズームレンズ」:複数のレンズで焦点距離を変えることのできるレンズ、この2つに大きく分かれます。単焦点は画角を変えるためにはレンズを付け替えなければなりません。しかし、それに有り余る利点があります。

特についこのあいだのデジタル一眼レフカメラ(DSLR)によるウェディング映像の大きな変化は、この単焦点レンズによる「F値」が小さい、ボケが美しい映像によってもたらされました。

そんな美しい映像が撮れる「単焦点」、なぜ使わないんですか?と。「一眼動画」を売りにしている業者さんもいらっしゃいますよね。と。

理由は簡単で、うちはドキュメンタリーを撮っているからです。

ドキュメンタリー

「記録映像、記録映画とも言われ、テレビ番組として放送する場合もある。文学におけるノンフィクションに相当し、「取材対象に演出を加えることなくありのままに記録された素材映像を編集してまとめた映像作品」と定義される。」

Wikipedia contributors. “ドキュメンタリー.” Wikipedia. Wikipedia, 30 Apr. 2016. Web. 4 May. 2016.

確かに単焦点を何本か持って、レンズ(またはカメラごと)変えながら撮影することでF値の恩恵を受けながら画角の幅は広がります。でも、その一瞬のタイミングで何かが起きたらどうします?例えば1秒のロスで。

挙式前の新婦様とお母様の会話。その背後でのお父様の突然の涙。予定にはないどなたかの特別な「お言葉」(セリフではないですよ)。そんな瞬間があった時、レンズを変えて撮れないなんてことは自分には許せません。一瞬でも見逃せない、演出ではないご結婚式だからこそ、その一瞬は見逃せないんです。

一方でスチルの写真カメラマンさんなどは一刻一刻を撮り続けるわけではないし、画角など度々変えることは必須では無いので、単焦点の利点は大きいと思いますが。

また、こういった見方もあります。演出にも色々な見方があって、対象に指示をして動いてもらうのももちろん演出ですし、映像の撮り方にとって見ている側に意図した感情を一方的に抱かせる事も広くは演出であると考えています。(映像にはこれができます、できるからこそそれがややこしいんですが)

製作者の意図した通りの映像を作る。これと単焦点レンズだけを使い撮るということは私の中でつながっています。

そうではなくて、お客様の個性を製作者の演出なく、見ている方それぞれに感じて頂く。受け取り方はそれぞれ変わってもいいとさえ思います。押し付けがましくなくそのままを撮る。それがドキュメンタリーだと。お二人の「そのままを見る」ことだと思うんです。そのためには一瞬が見逃せない時があるんです。

演出では無いその一瞬を大切にするか?意図した演出の中でボケの美しさを撮るか?

どちらが正しいというわけではなく、ウェディングでは私は前者なんです。

もちろん臨機応変な体制が必要ないシーンなどは使いますよ。両者のいいところを使い分ける。だから「単焦点も使いますよ。でもズームが好きなんです。」

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